コロナ禍のいま、自然栽培パーティの野菜で、全国にエールを送ろう!
これまで「畑の青空レストラン」「まかない飯レストラン」「今日は、お母さんと食べよう」と、3つのプロジェクトを各地で展開してきた「ハレバレごはん」。
最後のプロジェクトとしてご紹介するのは、「声の箱」プロジェクト。北海道、関東、東海、関西、九州の5つのエリアで実施。自然栽培で育てた野菜や加工品を箱にぎゅぎゅっと詰めて、コロナ禍で大変な思いをしている人にお届けしました。
このレポートでは、チーム関東のメンバーである埼玉福興株式会社(埼玉県熊谷市)が中心となって、2月2日(火)に実施した様子をご紹介します。
*「ハレバレごはん」とは?
*埼玉福興
採れたての野菜を、箱の中にギュギュっと詰めて、お届け!
埼玉福興株式会社は、農業を主な事業として、障害のある人や過去に罪をおかした人など、さまざまな働きずらさを抱える人たちが、いっしょにはたらくソーシャルファーム。農業を通して、「社会的健康」の実現を目指しています。
6ヘクタールある農地でさまざまな野菜やオリーブを育てていますが、自然栽培で、葉物やお米などを栽培。自社で栽培、収穫、抽出まで手掛けるオリーブオイルは国際コンテストで賞をとるほどの品質です。
2月2日、この日用意をした「声の箱」は50箱。朝から、まずはみんなで商品のラベル貼りや、袋づめ作業などを行った後、箱の中に商品を入れていきました。
今回の「声の箱」としてお届けしたのは、無農薬・無肥料で育てられた、小松菜、のらぼう菜、長ネギ、菊芋といった野菜と、卵、甘酒、そしてお米。埼玉福興だけでなく、自然栽培パーティのメンバーである社会福祉法人ゆずりは会・菜の花(群馬県前橋市)と、社会福祉法人こころん(福島県西白河郡)の商品も入っています。どれも手間ひまかけてつくられた野菜・商品で、ご紹介したいものばかりですが、中でもユニークなのが「甘酒」。
埼玉福興と菜の花、そして、NPO法人麦わら屋の3つの福祉事業所がコラボした商品で、自然栽培で育てたコシヒカリからつくられた糀が原料。無添加・ノンアルコール・ノンシュガーの糀甘酒は、先日150本販売したところ、たった6時間で完売したという逸品です。
今回の声の箱の内容。新鮮な野菜がたっぷり
甘酒のラベル張りの様子。ラベルの文字は、なんとスタッフの槙田さんの手書きの文字をデザイン
野菜を通して、「声」でエール交換!
この「声の箱」は、もう一つの仕掛けがあります。それは、中に入っているリーフレットに記載されているQRコードをクリックすると、全国各地の農福師からのエールの声を集めた動画を見られる、というもの。届けられた野菜がどんな畑で育ち、どんな人たちが栽培したのか、箱を受け取った人たちが知ることができます。
そして、箱を受け取った人たちにも、アンケートを通して「声」も送ってもらうことで、野菜を通してエールを交換しあう、そんなプロジェクトになっています。
この日、「声の箱」は、3人の方にお渡しをしました。
1人目は、群馬県前橋市で、「soto cafe」という移動販売カフェを運営しながら、シングルマザーの支援活動などを行う上石あゆみさん。そして、上石さんの紹介で、「フードバンク北関東」として、群馬県の太田市でやはりシングルマザーや外国の方に食料を届ける活動をしている須永徹さんも、来られました。
左から、上石さんと、須永さん
須永さん
「市がやっているフードバンクがあるんですが、5時で終わっちゃうんですよね。みなさん、お仕事を掛け持ちしている人もいるので、なかなか取りに行けなくて…。福祉の網からもれちゃっているんです。フードバンクでお渡しできるものは、加工されたものが多いので、新鮮な野菜は喜ばれます」。
上石さん
「わたし自身、シングルマザーで、結構大変な時があって…。ほんとにごはんを買うこと自体が、難しいんですよね。自然栽培の野菜なんてなかなか買えないので、ありがたいです」。
二人と話をしているうちに埼玉福興のスタッフ、槙田八重子さんはこんなことをぽろっと口にしました。
「たまには、気晴らしに子供たちとお母さん、畑に来たらどうですか?畑は屋外ですから、密にはならないし…。野菜って、種をまくと、意外と簡単にできるんです。食べ物がないって不安だけど、自分たちでも全然できるっていうのがわかれば、少しは不安もなくなると思うんですよね」。
いいですね、今度ぜひ実現させましょう、と話が盛り上がりました。
後日、上石さんから「声の箱」を受け取った方からのこんな声を教えてもらいました。「野菜も、値下げされている時しか買えず、無農薬の野菜は買えない。たまごも、100円で販売されているものしか食べた事がなく、新鮮なお野菜、平飼いたまご、自然栽培米など、普段食べる事ができないと、とても贅沢だと喜ばれていました」。
「声の箱」を車に積み込んで…
左から、山口さんと、農福師の鈴木さん、三宅さん。そして、埼玉福興代表の荒井さん
最後に3人目として、声の箱をお届けしたのは、熊谷市で子ども食堂「熊谷なないろ食堂」を運営している山口純子さん。農福師の鈴木里美さんと、三宅和美さんが、しっかりと声の箱を手渡しました。
山口純子さん
「子ども食堂は、平日は月水金の3日間、中学生以下は無料、高校生以上は200円で、どなたでも利用できます。だいたい毎回120~150人ぐらい、来られます。それから、2カ月に1度、ひとり親家庭と世帯主が失業家庭に限定してですが、フードパントリーもやっています。コロナになってから、やっぱり増えてますね…」。
フードパントリーに登録していた20世帯の方に、この「声の箱」は届けられました。
鈴木さん「いろんな野菜を持っていって、楽しかったです。またそういう経験してみたいです」。
三宅さん「美味しく食べてもらいたいと思っています。それで、また行きたいと思ってます」。
埼玉福興の代表、新井利昌さんも、「今回は、子どもたちを支える人たちに届けるということをテーマに実施させてもらいました。ハレバレごはんを通して、いろいろなところとつながるきっかけが、もらえました」とにっこり。「声の箱」を通して、地域で新しいつながりが生まれています。
※「声の箱」は、以下の日程で、全国で実施されました。
・NPO手と手 みのり彩園(北海道札幌市)2020年9月下旬~10月上旬
・社会福祉法人無門福祉会(愛知県豊田市)2020年11月19日、26日、2021年2月11日
・国分地域福祉事業所ほのぼの(鹿児島県霧島市)2020年12月20日
・NPO法人縁活 おもや(滋賀県栗東市)2021年1月19日
・埼玉福興株式会社(埼玉県熊谷市)2021年1月26日、2月2日
※この事業は、公益財団法人ヤマト福祉財団の助成を受け、実施しています。
写真:松本行央
「ハレバレごはん」プロジェクトのインスタグラムはこちらから
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