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若者が行く!パーティの魅力発見記 ~vol1~

  • 自然栽培パーティ新聞
  • 2023年6月11日

こんにちは、自然栽培パーティを知り始めたばかりの大学生しもしもです。
この活動を知ったとき、疑問が湧きました。自然栽培パーティの人たちの表情や言葉に実感がこもっていて、輝いて見えるのはなぜだろう。輝いて見えて、もっとその意味が知りたくなった言葉には、例えばこんなものがありました。

 

今井さん
掬家つばさ
今井さん

ありのままの生き方が、自然栽培を通して見えてくるところがあるのかなあと思っている。障害とか生き方って、何かに当てはめたらすごくやりづらいんだけど、農とか暮らしとか、自然の中で生き方を考えていくと、めちゃくちゃ豊かなものだなと思える。だから楽しいし、ワクワクする。どういう生き方でも認めることができる気がする。

 

磯部さん
無門福祉会
磯部さん

自然って別に答えがないというか、それぞれの本当に与えられた感覚で、自分が感じた感覚を出せると思う。

 

今回は、無門さんの畑に3日間お邪魔して「自然の中で、自分の感覚を出せる、ありのままの生き方が見えるってどういうことだろう」という問いをもって観察をしてみました。

 
 

〜畑での体験〜

 

ある日みんなでマルチを土で抑える作業をしました。ある農福師さんは少し険しい顔をしていて、畑があまり好きじゃないのかなと思って私が見ていると、その農福師さんは急にすくっと立ち上がり、見つけたカエルの後を追っていました。顔は無表情のままのようでしたが、その瞬間、心なしかウキウキしているように見えました。
また、職員さんがいろんな農福師さんについて教えてくれました。
あの農福師さんは虫が好きで指をさして教えてくれる、だけど触ることはまだできないらしい。
あそこにいる農福師さんは、田植えで泥だらけになって頑張ったことをお母さんに褒められてから、あえてシャツに泥をつけるようになっちゃった…など、どの人にも初対面では想像のつかなかなかった意外な一面がありました。

 

言葉がでなかったり、無表情でわかりにくい人が、自分となんにも変わらない素直な気持ちや、とっても魅力的な顔を持っているんだと気がつきました。
自然栽培の畑では、いろんな生き物たちが飛んだり食べたりをさりげなく繰り広げていました。広い畑で人間もかなり自由に動いていました。そういう「答えがない」けど、感じられることがたくさんある場所だから、農福師さんの素直な反応や人柄が見えるチャンスが多くある気がしました。

 

また、不思議に思ったことがありました。
それは、雨の日の室内でのこと。止まない水の音が嫌で、ある農福師さんが自分の頭を叩きはじめたとき、職員さんは「ごめん。事務室が静かだからそっちの方に行ってもいいよ、どうする?無理はしないで」と聞いていました。言葉が出ない農福師さんに対して、ただ何も聞かずに静かな場所まで腕を引っ張っていくこともできたんじゃないかと思います。でもそうではなく、まずは相手に寄り添ってどうしたいか聞いているところに、支援者というよりも自然に気遣う仕事仲間としての関係性を見たような気がしました。言葉が少ないのに、どうしてそんな自然な関係になれるのでしょうか。

 

この農福師さんは、映画「種まいて水やって自然栽培パーティ」に登場している方でした。
その場面は、最初は農作業に興味がないように見えるその方が、お箸を使ってレタス苗を植える職員さんに付き添って苗を運んでいたところ、突然職員さんからお箸をすっと取って、植える作業をやってのけてしまったのでした。

 

「できたじゃん!」と言われ、ふふふ、っと少しはにかんだように嬉しそうな表情をしていました。

 

ああ、職員さんはこういう「ありのまま」の瞬間を見てきたから、日常の接し方も変わってくるのかなあと思いました。
それは例えば農福師さんの「やりたい」とか「できちゃった嬉しい」とか「カエルだー!」とか。

 

障害とか支援の対象という枠を超えて、その人そのままの人間味や感情を知る。これが、「ありのままの生き方が見える」ってことなのかなあと思いました。そんなことを重ねていると、その人はその人として、「勝手に」幸せに生きてほしいみたいな、信頼や尊重をともなった仕事仲間のような感情が湧くのかなあと思いました。


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